海外FXは高いレバレッジや豪華なボーナスキャンペーンなど、国内FX業者にはない魅力的なサービスを提供しています。
一方で、海外のFX業者を利用することから「取引するのは違法?」「海外FXで取引して逮捕や罰金はありえる?」といった疑問や心配を感じるトレーダーも多いです。
そこで本記事では、プラム法律事務所の梅澤弁護士監修のもと、日本の金融庁の見解や金融商品取引法などの法律の記載を根拠として海外FXの違法性について徹底解説します!
海外FX業者は金融庁から警告・注意喚起を受けている
多くの人が「海外FXは違法なのでは?」という疑念を持つ原因の1つとして、日本の金融庁が海外FX業者に対して警告や注意喚起を出していることにあります。
まずは、実際に金融庁が出している海外FX業者への警告と注意喚起がどのようなものなのかについて解説します。
それぞれ順番に見ていきましょう!
金融庁による警告・注意喚起の内容
金融庁のホームページでは、2009年から「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」というページが公開されています。
該当のページでは、日本の金融庁が発行するライセンスを持たない未登録のFX業者では取引しないように、という注意喚起がなされています。
金融商品取引法に基づく登録を受けていない海外所在業者が、インターネットに日本語ホームページを開設する等により、外国為替証拠金取引(FX取引)や有価証券投資等の勧誘を行っている例が見受けられます。
また最近、海外所在の無登録業者とバイナリーオプション取引を行い、出金に応じてもらえないなどのトラブルになっている例も見られます。
日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。取引を行う前に取引の相手が登録を受けているかこちらで確認して、無登録の海外所在業者との取引は行わないよう、注意してください。
金融庁のホームページより引用
実際に上記の注意喚起を読んでみると、文章中に「違法」という文字が使われています。
ただし、これは海外FXを利用するのは違法なのかで後述するとおり、海外FX業者についての違法性に言及するものであって利用者についての違法性に言及するものではありません。
金融庁から警告を受けている海外FX業者
日本の金融庁のホームページで公開されている「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」では、無登録で金融商品取引業(FXなど)を行っている業者の名称や住所・業務内容などを掲載・警告しています。
実際に掲載されている内容は以下の通りです。
名称 | 所在地 | 内容 | 備考 |
---|---|---|---|
Tradexfin Limited | F20, 1st Floor, Eden Plaza, Eden Island, Seychelles | インターネットを通じて、店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていたもの。 | 当該業者が提供するサービス(FX取引等)の名称は「XMTRADING、XMTrading」である。 |
360 Degrees Markets Ltd. | Suite C, Oion Mall, Palm Street, Victoria, Mahe, Seychelles | インターネットを通じて、店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていたもの。 | 当該業者が提供するサービス(暗号資産を含むFX取引等)の名称は「FXGT」である。 |
Axiory Global Ltd. | Registered office 35 New Road Belize City Belize | インターネットを通じて、店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていたもの。 | 代表者等の氏名は「不明」。当該業者が提供するサービスの名称「AXIORY(アキシオリー)」である。 |
例として上記のように、日本でも有名でユーザー数の多いXMTrading・FXGT・AXIORYの3社はホームページ上で警告を受けています。
この3社のほかにも、TitanFXやHFM(旧HotForex)・Exnessなども同様のページに記載があり、無登録業者での取引は控えるように注意喚起されているのが現状です。
海外FXを利用するのは違法?
日本の金融庁は、ホームページで海外FX業者に対する警告と注意喚起を行っています。
では、ユーザーであるトレーダーが海外FX業者で取引することは違法なのでしょうか?
日本の法律と照らし合わせながら見ていきましょう。
海外FX業者の利用は違法とは言えない
海外FX業者を利用しての取引を完全なる違法だと言うことはできません。
上記のとおり金融庁による警告等は、海外FX業者が無登録で金融商品取引業に該当する行為を行うことについて違法である旨を指摘するものです。この違法についてペナルティを受けるのは海外FX業者であり、当該業者の利用者ではありません。
そのため、仮に海外FX業者の行為が業規制に基づいて違法となる場合であっても、当該業者の利用者が違法の責任を負うことはありません。
なお、金融庁は「外国証券業者に対する基本的考え方」をホームページで公開しており、以下のような記載があります。
他方、国内に拠点を有しない無登録の外国証券業者であっても、有価証券関連業に係る行為についての勧誘をすることなく、あるいは金融商品取引業者(第一種金融商品取引業に限る。)による代理又は媒介により、国内にある者の注文を受けて外国からその者を相手方として有価証券関連業に係る行為を行うことについては許容されている。
監督上の評価項目と諸手続(外国証券業者等)より引用
つまり、海外FX業者が無登録の場合であっても、勧誘をしないで有価証券関連取引をしたり登録業者の媒介によって有価証券関連取引をする場合は違法とならないということです。
どのような場合であれユーザーが責任を負うことはありませんが、一応留意しておきましょう。
EA (自動売買システム) の利用は違法なのか?
海外FX業者での取引にあたって、EA(自動売買システム)を使うことは違法なのでしょうか?
結論、EA(自動売買システム)を用いた取引を禁じる規定は国内にも海外にもないため違法ではありません。
ただし、EA(自動売買システム)は投資詐欺などによく利用され、実際に逮捕者も出ています。実際のケースは後述しますが、特にWebサイトやSNS等で勧誘を受けて利用する場合は十分注意が必要です。
法律が禁止しているものは何か?
金融庁のホームページにある警告と注意喚起は、金融商品取引法に基づく登録を受けてない海外業者によるFX取引等の勧誘に対して発出されています。
では、実際に法律では何を禁止していているのでしょうか?
金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
金融商品取引法29条より引用
上記のように法律では、内閣総理大臣による登録を受けていない事業者が、日本国内でFX取引を含む金融商品取引業を行うことを禁止しています。
そして、金融商品取引法29条に違反すると、金融商品取引法197条の2・第9条第10条の4で「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、もしくはその両方」が科されると記載されています。
このように、法律では海外のFX業者が日本国内で営業や勧誘することが禁止されており、利用者に関する記載はないことがわかります。そのため、上記の通り仮に違法業者を利用したとしても、ユーザー側が何らか責任を追及されるということはありません。
海外FX業者による勧誘は違法
実際に、海外FX業者によるどのような行為が法律違反となるのでしょうか?
金融庁は、海外FX業者によるユーザーの「勧誘」は違法だとしています。
外国証券業者がホームページ等に有価証券関連業に係る行為に関する広告等を掲載する行為については、原則として、「勧誘」行為に該当する。
監督上の評価項目と諸手続(外国証券業者等)より引用
例えば、日本で人気の海外FX業者の多くは日本語のホームページを用意しています。このようなインターネットを通じて行う取引について、金融庁は「勧誘」行為に当たると断言しています。
一方で、日本語でホームページを開設していても勧誘にあたらない場合も別途規定されています。
ただし、以下に掲げる措置を始めとして、日本国内の投資者との間の有価証券関連業に係る行為につながらないような合理的な措置が講じられている限り、国内投資者に向けた「勧誘」には該当しないものとする。
(1)担保文言
日本国内の投資者が当該サービスの対象とされていない旨の文言が明記されていること。
上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
①当該担保文言を判読するためには、広告等を閲覧する以外の特段の追加的操作を要しないこと。
②担保文言が、当該サイトを利用する日本国内の投資者が合理的に判読できる言語により表示されていること。
監督上の評価項目と諸手続(外国証券業者等)より引用
(2)取引防止措置等
日本国内にある投資者との間の有価証券関連業に係る行為を防止するための措置が講じられていること。
上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
①取引に際して、投資者より、住所、郵送先住所、メールアドレス、支払い方法その他の情報を提示させることにより、その居所を確認できる手続を経ていること。
②明らかに日本国内の投資者による有価証券関連業に係る行為であると信ずるに足る合理的な事由がある場合には、当該投資者から注文に応ずることのないよう配意していること。
③日本国内に顧客向けのコールセンターを設置する、或いは国内投資者を対象とするホームページ等にリンクを設定する等を始めとして、日本国内にある投資者に対し有価証券関連業に係る行為を誘引することのないよう配意していること。
また、以上に掲げる措置はあくまで例示であり、これらと同等若しくはそれ以上の措置が講じられている場合には、当該広告等の提供は、国内投資者向けの「勧誘」行為に該当しないものとする。
監督上の評価項目と諸手続(外国証券業者等)より引用
ただし、現状ではこの規定を海外FX業者は守っていません。
そのため、金融庁は日本国内のユーザーに対する「勧誘」があるとして、例えば海外FX業者でもっとも知名度のあるXMtrading(エックスエム)に対しても無登録で金融商品取引業等を行う者について(Tradexfin Limited)を発出しています。
なお、繰り返しとなりますが、これらの注意喚起は海外FX業者に対して行われているものであって、取引をしている個人に対して向けられているものではありません。
海外FX業者が登録業者であれ無登録業者であれ、これを利用するユーザーが責任を問われることはありません。
海外FX業者側の言い分
多くの海外FX業者は、公式ホームページにて「日本人は勧誘していない」ことを明記しています。
例えば、FXGTの公式サイトの最下部には以下のような記載があります。
FXGTは日本金融庁の監督下にないため、日本に対する金融商品の提供や金融サービスの勧誘とみなされる行為には関与しておらず、本ウェブサイトは日本国内の居住者を対象としたものではありません。
FXGTの公式ホームページより引用
つまり「日本語のホームページはあるけれど、これはあくまで日本の非居住者(海外在住の日本人)に対するものですよ」ということです。なぜなら、日本の非居住者には日本の法律は適用されないからです。
日本の金融庁は日本での勧誘行為に対して警告を発出していますが、海外FX業者側としては「日本国内に住んでいる人は対象にしていませんよ」というスタンスを取っています。
海外FX業者側の言い分としては、あくまで違法行為となる「国内居住者の勧誘」はしていないと主張していますが、国内居住者がWEBサイトを閲覧できて利用者登録もできる現状を踏まえると、この主張はかなりグレーだと言えるでしょう。
海外FX業者が金融庁に登録しない理由
海外FX業者に対しては、金融庁から何度も警告や注意喚起が発出されています。
では、なぜ海外FX業者は日本で金融ライセンスを取得しないのでしょうか?
その理由について順番に見ていきましょう。
国内FX業者に適用される規制
- キャンペーンに関する規制
- レバレッジの規制
- ロスカットルールに関する規制
まず前提として、日本の金融庁に登録されている国内FX業者には、金融商品取引法によって上記のような規制が適用されます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
キャンペーンに関する規制
多くの国内FX業者は、口座開設と取引という条件付きで「キャッシュバックキャンペーン」を開催しています。ただし、このキャッシュバックは景品表示法で上限額が決まっています。
キャッシュバックの額は「取引価額」で決まりますが、FXではスプレッドやスワップポイントなどの手数料をもとに計算されます。
会員がいわゆる外国為替証拠金取引を行う顧客に対し景品類等を提供する場合には、顧客から徴収する手数料の額、手数料に相当するものの額(為替及び金利に係るスプレッド収益等)、又は当該2つの額の合計を「景品類の提供に係る取引の価額」とすること。
いわゆる外国為替証拠金取引の「景品類の提供に係る取引の価額」についてより引用
キャッシュバックの限度額は以下の通りです。
取引価額 | キャッシュバック |
---|---|
1,000円未満 | 200円 |
1,000円以上 | 取引価額の10分の2 |
国内FX業者は、これ以上の金額のキャッシュバックをユーザーに付与することはできません。
レバレッジの規制
国内FX業者のレバレッジは、2011年以降に最大25倍までと決まっています。
2010年8月1日より、FX取扱業者は、個人顧客とFX取引を行うに当たり、取引金額に対して2%以上、翌2011年8月1日以降は4%以上の証拠金を預かることが義務付けられました。
金融先物取引業協会のホームページより引用
上記のように、取引額の4%以上(レバレッジ25倍以下)の証拠金を預かることが義務付けられています。国内FX業者はユーザーに対して25倍以上のレバレッジを提供することはできません。
ロスカットルールに関する規制
国内FX業者は、ユーザーの保護を目的としてロスカット(強制決済)に関するルールを定めています。
ポジションを決済した場合に顧客に生ずることとなる損失の額が、当該顧客との間であらかじめ約した計算方法により算出される額に達する場合に、顧客のポジションに対して業者等が強制的に行う決済取引を「ロスカット取引」といいます。
金融先物取引業協会のホームページより引用
上記のように含み損が拡大した場合には、FX業者はそれぞれのロスカットルールに則って強制的にポジションを決済されます。
ただし、相場の状況によってはロスカットが機能せず、トレーダー側では証拠金残高(口座残高)以上の損失が発生する場合もあります。そして、国内FX業者は入金額以上の損失が発生するリスクについて、ユーザーに説明する義務があります。
ロスカット取引とは、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。通常、損失の額が、あらかじめ約束した水準(以下、「ロスカット水準」といいます。)に達した時点から決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によっては顧客から預かった証拠金以上の損失の額が生じることがあります。
金融先物取引業協会のホームページより引用
なお、相場の急変動などによって証拠金以上(口座残高以上)の損失が発生した場合、ユーザーは追加証拠金(追証)の支払いが必要となります。
海外FX業者は日本の金融ライセンスを取得するメリットがない
海外FX業者には日本の金融商品取引法や景品表示法は適用されないため、サービス内容は国内FX業者とは正反対です。
- 豪華なボーナスキャンペーン
- 400倍~21億倍(実質無制限)のハイレバレッジ
- ゼロカットシステム採用で追証(追加証拠金)なし
上記のように、海外FX業者は国内FX業者と異なり「豪華なボーナス」「ハイレバレッジ」「ゼロカットシステム」を提供しています。
つまり、海外FX業者が日本の金融庁に登録すると、こういったトレーダーを惹きつける魅力的なサービスをすべて捨てて日本国内の規制に合わせないといけません。
海外FX業者にすれば日本の金融ライセンスを取得するメリットがないため、金融庁に未登録のまま営業しているという背景があります。
海外FXで違法になるケース【実例あり】
海外FX口座を利用すること自体に違法性はありません。
しかし、通常の利用方法を超えて、不適法な手段でこれを利用する場合には刑事責任を問われることもあります。また、海外FX口座を利用して自ら何らかの金融商品取引業に該当する行為を行うことも問題となる可能性があります。
以下、具体的な事例を踏まえて解説します。
脱税
海外FXを利用していてもっとも注意しなければならないのが「脱税」です。脱税はもちろん違法です。
海外FX口座を利用して利益を得た場合は、確定申告をして納税する必要があります。海外FXで得た収益を所得として申告しない場合には所得税法違反として犯罪になるほか、無申告加算税などの追徴課税の対象になります。
実際に逮捕された例としては、2012年にFXで約3億8,000万円の収益を得た会社役員が、その申告せず、約1億4千万円を脱税したとして逮捕された事例があります。
静岡地検は9日、外国為替証拠金(FX)取引で得た所得約3億6800万円を申告せず、約1億4千万円を脱税したとして、シンガポール在住の会社役員、溝田耕治容疑者(37)を所得税法違反(脱税)容疑で逮捕した。溝田容疑者は日本在住時に問題のFX取引を行い、利益を申告しないままシンガポールに移住していた。
日本経済新聞より引用
例えば給与所得のある会社員・サラリーマンの方の場合、海外FXの利益から経費を差し引いた所得が年間20万円を超える場合には確定申告が必要となります。
なお、海外FXの税金については海外FXの税金と確定申告のルールで解説しているので参考にしてみてください。
無登録で日本居住者に対して電話・訪問で直接勧誘する行為
続いて「無登録で日本居住者に対して電話・訪問で直接勧誘する行為」は違法です。
イントロデューシングブローカー(IB)と呼ばれるFX業者の「紹介エージェント」が、無登録で日本居住者に対して電話・訪問をしてFXの勧誘行為を行うことは金融商品取引法違反となります。
この勧誘行為については国内FX・海外FX問わず問題になるので注意しましょう。
過去には「副業セミナー」と称して人を集め、有料のFX投資スクールに違法に勧誘した者が特定商取引法違反とともに、金融商品取引法違反として逮捕されています。
「副業セミナー」と称して人を集め、有償の投資スクールに違法に勧誘したなどとして、大阪府警は、主催した会社の元代表の男ら25人を特定商取引法違反(目的隠匿勧誘、虚偽書面交付)や金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕し、18日に発表した。府警は全員の認否を明らかにしていない。
朝日新聞デジタルより引用
なお、ホームページやウェブサイト等でFXに関する情報を公開しサイトに誘導して契約に応じて利益を得る海外FXアフィリエイトに関しては、現状グレーゾーンとされていてこれまでに逮捕者は出ていません。
海外FX取引への出資を募る行為
続いて「海外FX取引への出資を募る行為」は違法です。
海外FX口座で取引をしている人が、配当をすることを約束して出資を募る行為は、金融商品取引法に基づく登録が必要です。
出資を募ってその資金を運用して出た利益を配分する集団投資スキームのことを「ファンド」と言います。ファンドも金融商品取引法に基づく登録が必要で、無登録で営業を行うことは処罰の対象になります。
実際に次のように逮捕例もあります。
「外国為替証拠金取引(FX)の運用で高額配当を得られる」などといって無登録で出資金を集めたとして、大阪府警生活経済課などは11日までに、資産運用会社「アドバンストステージ」(大阪市中央区)の元代表取締役、鄭国保容疑者(38)=鹿児島市加治屋町=を金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕した。「間違いない」と容疑を認めている。
日本経済新聞より引用
金銭を預けた方に処罰はありません。
一方で、上記の事例にもあるように預けたお金の多くが行方不明となるリスクがあるので注意が必要です。
ミラートレード(コピートレード)
他の投資家の戦略をコピーして投資する手法のことを「ミラートレード(コピートレード)」といいます。
海外FX業者でいうとTitanFXが取り扱っており、専用アプリで取引可能です。FXトレードの腕に自信がないという方でも、利益率の高いトレーダーの取引と紐づけることで同じ利益率を得ることができます。
このミラートレードのサービスを日本国内で提供するためには、金融商品取引法の「投資助言・代理業者」の登録が必要です。もし登録がなければ無登録営業として違法となります。
海外FX業者も、ミラートレードのサービスを日本国内で日本人向けに展開するとすれば、「投資助言・代理業者」の登録が必要です。また、取引シグナルを提供するプロバイダーも、フォロワーから報酬を得るには同様の資格が必要です。
実際のところ海外FXの場合には、サービス・プロバイダーともに海外で提供しているので、日本の金融商品取引法の対象とはなりません。
一方で、これらのミラートレードを日本居住者に勧誘する行為は国内無登録の海外FX自体の勧誘行為となり、同様に無登録営業で違法となるので注意が必要です。
オンラインサロンでの投資助言
続いて「オンラインサロンでの投資助言」は違法です。
インターネット上で展開されている会員制のコミュニティである「オンラインサロン」にて、投資助言を行っているようなケースがあります。具体的には、特定の銘柄を推奨したり売買のタイミングをアドバイスしたりすることです。
投資の助言をするためには金融商品取引法の「投資助言・代理業者」の登録が必要で、この登録がなけば無登録営業として違法となります。
2020年6月に金融庁は、Twitter(現在は’X’)上で次のような注意喚起を行いました。
【注意喚起】#オンラインサロン 等での #株式 の銘柄推奨や、#FX 取引、#バイナリーオプション の投資タイミング等の助言は国の登録がない無登録業者が提供している可能性もあるのでご注意ください。https://t.co/yF9DJKQLbp#投資 #副業 #在宅ワーク #暗号資産
— 金融庁 (@fsa_JAPAN) June 3, 2020
なお、無登録業者として犯罪になるのはオンラインサロンの主催者側であり、利用者が罪に問われるものではありません。
EA (自動売買システム) の会員制販売・レンタル
続いて「EA(自動売買システム)の会員制販売・レンタル」は違法です。
EAツール(自動売買システム)の利用自体に違法性はありません。また、EAツールを売り切りで販売することにも違法性はないと解釈されています。
しかし、EAツールを会員制で販売・レンタルする行為については、投資助言・代理業者の登録が必要であるという注意勧告が北海道財務局から行われています。
利用者として注意が必要なのは、例えばある会員が他のEAツールのレンタルを促して他の会員を勧誘する行為にも投資助言・代理業者の登録が必要になる点です。
北海道財務局が合わせて注意喚起しているので、違法行為に手を出さないように注意しましょう。
EA (自動売買システム) に関する詐欺事例
EA(自動売買システム)を利用すること自体は違法ではないのですが、EAに関する詐欺事件はよく起きているので注意が必要です。
国民生活センターのホームページでも実例が挙げられていますが、実際にEAに関する以下のような詐欺が横行しています。
- 「絶対に儲かる」「誰でも勝てる」などの誇大広告で集客し、資金を集めたあとに逃亡する。
- 機能しないEAツールをEAツールとして販売する。
- 返金保証をしておきながら返金しない。
これらはいずれも販売した側が逮捕されるもので、利用した側が逮捕されるわけではありません。
ただし、預けた資金が返ってこないなどのリスクもあるので注意が必要です。
EA (自動売買システム) に関する特定商取引法違反
EA(自動売買システム)の販売において、必要な書類が交付されていない・虚偽誇大表示であるなど、特定商取引法に違反している事例が多数報告されています。
特に「絶対に負けない」「必ず儲かる」などのフレーズを使うなど、誇大広告によって実際に刑事事件化・行政指導が行われているケースもあります。
特定商取引法はEAの販売会社に対する規制をするものですが、ねずみ講・マルチ取引に加担したときには会社側として逮捕される対象になりかねないので注意が必要です。
海外FXのトラブルに巻き込まれたときは?【相談できる】
海外FXでトラブルに巻き込まれた場合は、どのように対応するのが良いのでしょうか。
それぞれ順番に解説します。
国民生活センターや弁護士に相談する
もし「海外FXで出金拒否された」「預けた資金が返ってこない」など、海外FXでトラブルに巻き込まれた場合は、まず国民生活センターや弁護士に相談しましょう。
例えば国民生活センターのホームページでは「消費者ホットライン」が用意されており、海外FX関連のトラブルについて相談することができます。
また、GoogleやYahooなどで「出金拒否 弁護士」などと検索すると、海外FXの出金トラブルの解決実績のある弁護士事務所が見つかります。
自分ではどうしようもない・何をしたらいいか分からないという場合は、上記の2つの相談先に問い合わせてみましょう。
そもそもトラブルに巻き込まれないためには?
海外FX業者で取引することは違法ではありませんが、無登録の業者は日本の金融庁の監督下にないため当然リスクがあり、その利用はすべて自己責任です。
一方で、それでも海外FX業者で取引したいという場合は、以下の点に注意して利用するようにしましょう。
- 海外の信頼できる金融ライセンスを保有するFX業者を選ぶ。
- ネットやSNS上に多くの評判・口コミのあるFX業者を選ぶ。
- 多額の資金を入金しない。
- 利益はこまめに出金する。
海外FXでトラブルに巻き込まれないためにも、上記の点はしっかり頭に入れて利用するようにしましょう!
海外FXの違法性に関するよくある質問と回答
海外FXの違法性に関するよくある質問と回答をまとめています。
より専門的な内容については、国民生活センターや弁護士事務所等にお問い合わせすることを推奨します。
【まとめ】海外FXの違法性を解説
海外FXの違法性について解説してきました。
日本人が海外FX業者を利用することに違法性はありません。しかし金融庁から注意喚起をされているように、実際に海外FXにまつわる犯罪やトラブルは多く発生しています。
海外FXの利用はすべて自己責任です。
犯罪に巻き込まれない・犯罪に加担してしまわないように、もし「怪しいな」と思ったら取引を中止するか、弁護士などの専門家に相談することをおすすめしますよ!
本記事は以上となります。
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