FX取引では、トレーダーが一般的に用いる分析手法として、テクニカル分析とファンダメンタル分析の2つが挙げられます。この記事では、テクニカル分析とは何か、そしてそのやり方について、初心者の方にも分かりやすく基礎から解説していきます。
テクニカル分析とは?
テクニカル分析とは、金融市場の過去の価格変動を分析し、将来の値動きや価格を予測する手法のことです。
マーケットのテクニカル分析という概念は何百年も前から存在しており、その最も初期の形は1683年にジョセフ・デ・ラ・ベガがオランダ市場の予測に用いたのが始まりとされています[1]。
現代においては、金融テクノロジーの進歩と分析ツールの発展により、FX市場だけでなく、さまざまな資産クラスでテクニカル分析の人気が高まっています。
テクニカル分析の仕組み
テクニカル分析は、過去の市場データ(主に価格と出来高)を分析することで、将来の価格動向を予測しようとする手法です。経験豊富なトレーダーは、必要な情報はすべて価格履歴に織り込まれていると考えるため、チャートの形や数値に注目します。
チャートパターン
チャートパターンは、テクニカル分析の中でも視覚的な要素が強い分析方法です。チャートのパターンを見つけることで、過去の市場データを基にして、価格がどちらの方向に動きそうかを判断します。
チャートパターンには以下のようなものがあります。
- ローソク足パターン
- トレンドライン
- フィボナッチリトレースメント
- サポート&レジスタンス(需給)
テクニカル指標
テクニカル指標は、統計的なアプローチを用いて市場を分析する方法です。価格や出来高などから計算される数値で、市場の状況を客観的に捉えるのに役立ちます。
テクニカル指標は大きく分けて、トレンド系(市場の方向性を見る)、オシレーター系(買われすぎ・売られすぎを見る)、出来高系(取引量を見る)の3種類があります。上級者になると、自分独自の指標を開発して将来の価格を予測することもあります。
テクニカル分析の活用法
テクニカル分析では、銘柄をさまざまな時間軸で分析できますが、一般的に長期的な時間軸(上位時間軸)での分析は、短期的な時間軸(下位時間軸)での分析よりも重要だと考えられています。そのため、多くのテクニカルアナリストは、まず大局的な視点から市場を捉え、徐々に詳細な部分へと焦点を絞っていくトップダウンアプローチを使います。
このアプローチでは、まずトレーダーは上位時間軸でテクニカル分析を行い、市場全体の大きな方向性を把握します。その後、下位時間軸に移行し、上位時間軸で得た市場の見方(バイアス)と一致するかどうかを確認します。
上位時間軸の分析は市場の長期的な方向性を示し、下位時間軸の分析は短期的な価格の動きを詳細に捉えます。特にFXのテクニカル分析を始めたばかりの方にとって、このトップダウンアプローチのやり方を理解することは、分析方法を習得する上で非常に役立つかもしれません。
FXテクニカル分析の活用例:複数の指標を使ったEUR/USD取引戦略
このFXテクニカル分析の事例では、あるFXトレーダーが、ユーロ/米ドル(EUR/USD)の取引で、複数のテクニカル指標を組み合わせてエントリーの判断をしています。
移動平均線を使ったトレンド判断
このトレーダーは、相場の大きな流れ(トレンド)をつかむために、50日移動平均線と200日移動平均線を使用しています。
下の図1のように、短期の50日移動平均線が長期の200日移動平均線を下から上に突き抜ける現象を「ゴールデンクロス」と呼び、これは「これから価格が上昇しやすい(強気トレンド)」というサインだと判断します。
ローソク足パターンによる買いサインの確認
ゴールデンクロスで上昇トレンドの可能性を確認した後、このトレーダーはさらに買いのサインを強めるために、強気包み足というローソク足のパターン(図2)を探します。これは、前の足の陰線を次の足の陽線が完全に包み込む形で、強い上昇の勢いを示唆します。
このようなシグナルが複数確認できた場合、トレーダーはロングポジション(買い)を検討します。その際、ストップロスを設定して損失リスクを限定し、自身の許容度に基づいてテイクプロフィット(利確目標)を設定します。
複数の指標を組み合わせる重要性
このアプローチは、単一の指標に頼るのではなく、複数のテクニカル指標で互いに裏付けを取りながら取引判断を行う構造化された戦略です。継続的な相場監視と適切なリスク管理を組み合わせることで、潜在的な損失を抑えつつ、相場の動きから利益を狙うことが可能になります。
テクニカル指標を効果的に使いこなしてエントリーポイントやエグジットポイントを見つけ、取引戦略を構築するには、時間と経験が必要です。
まとめ:テクニカル分析を使いこなす
テクニカル分析は、適切な戦略とツールを組み合わせることで、チャート上に現れるパターンを特定するのに役立つ有効な手法です。しかし、変動の激しい金融市場において、将来の価格を保証するものではありません。
FX取引で長期的な成功を収めるためには、テクニカル分析以外にも考慮すべき多くの要因があります。市場のファンダメンタル要因(経済指標や地政学的要因など)の理解やリスク管理、自身の心理的な側面もトレードの成果に大きく影響します。
テクニカル分析にしても、ファンダメンタル分析にしても、自分に合ったやり方を見つけるには、試行錯誤と継続的な学習が大切です。FXを始めとしたさまざまなマーケットのテクニカル分析を始めてみませんか?
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参照
- “Behavioral Finance in Joseph de la Vega’s Confusion de Confusiones – Tyalor & Francis Online” https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15427560.2014.968722 Accessed 5 Feb 2023