FXや株式と並び、債券は多くの投資家・トレーダーにとって人気の有価証券です。実際に、多くのポートフォリオで中心的な役割を担っており、特に長期的な運用実績を目指す保守的な投資戦略ではその傾向が目立ちます。
しかし、これは短期的な投資を検討しているトレーダーが債券を無視すべきという意味ではありません。取引手法によっては、債券は短期間でも成果を生み出すことが可能です。
この記事では、債券とは何か、その仕組み、そして投資ポートフォリオにおける位置付けを解説します。さらに、さまざまな債券投資および取引方法についても詳しく掘り下げていきます。
債券とは
債券とは、国、地方公共団体、または企業が資金を借り入れる際に発行する「借用証明書」のようなものです。投資家が債券を購入することは、発行体にお金を貸し付けることを意味します。この貸し付けに対し、発行体は期日までに元本を返済し、定期的に利息を支払うことを約束します。
この利息は一般的に「クーポンレート」と呼ばれ、四半期ごとに支払われるのが一般的ですが、毎月から年に1回までさまざまです。
債券投資・取引のメリット
債券投資には、投資家・トレーダーにとってのメリットが複数あります。
安定した収入源
まず、債券は安定した収入源となる点が挙げられます。債券を満期まで保有すれば、定期的に利息を受け取ることができます。これは、安定したキャッシュフローを求める投資家にとって非常に有効な特徴です。
元本保全の可能性
次に、債券には元本保全の可能性があります。満期時には、発生した利息に加えて元本が全額償還されるため、株式と比較して比較的安全な投資オプションと言えます[1]。
ポートフォリオの分散効果
さらに、債券投資のもう一つのメリットは、投資ポートフォリオに分散効果をもたらすことです。債券は株式などの他の資産クラスとの相関が低いという特徴があります[2]。これは、株式市場が変動しているときに、債券のパフォーマンスがポートフォリオ全体の収益を安定させるのに役立つことを意味します。
ポートフォリオに債券を組み入れることで、投資家はリスクを軽減し、よりバランスの取れたポートフォリオを構築することができます。ただし、債券の質や信用度を判断する上で、債券の信用格付けが重要である点にはご注意ください。
債券市場の仕組み
債券市場の仕組みは、主に2つの市場に分けられます。
1. 発行市場(プライマリーマーケット)
発行市場は、新しく発行される債券が投資家に初めて販売される場所です。企業や政府などが資金を調達する際にこの市場を通じて債券を発行し、通常はオークション形式や投資銀行の支援を受けて販売されます。投資家は、ここで発行体から直接、新規発行の債券を購入することができます。さまざまな種類の債券が提供されており、投資家は自身の投資目標に合ったものを選ぶことが可能です。
2. 流通市場(セカンダリーマーケット)
流通市場は、すでに発行された債券が投資家間で売買される市場です。発行市場で一度購入された債券は、この市場で自由に取引されます。流通市場があることで債券に流動性が生まれ、投資家は満期を待たずに債券を売却したり、他の投資家から魅力的な条件の債券を購入したりすることができます。
債券クーポンとは
債券クーポンとは、債券の発行体が債券保有者に対して定期的に支払う利息のことです。これは、発行体と債券保有者の間の契約における不可欠な要素であり、発行体は債券の満期日に元本を返済することに加え、債券クーポンとして知られる定期的な利息の支払いを行うことを約束します。
債券クーポンレートは債券が発行される際に設定され、投資家が受け取る利息の金額を決定します。クーポンが支払われる頻度は、債券によって月ごと、四半期ごと、年ごとなどさまざまです。
債券投資におけるリスク
他の投資と同様に、債券投資にもリスクが伴います。主なリスクは「デフォルトリスク(債務不履行リスク)」と「金利リスク」です。
1. デフォルトリスク(債務不履行リスク)
債券はローンと同じような性質を持つため、発行体が満期に資金を返済できない可能性があり、これがデフォルトリスクです。このリスクが顕在化すると、投資家は貸し付けた資金を取り戻せない可能性があります。
政府が発行する債券(地方債や国債など)は、一般的にデフォルトリスクが低いとされています。一方、社債はデフォルトリスクが高いと見なされがちですが、必ずしもそうとは限りません[3]。
2. 金利リスク
金利リスクは、債券価格と市場金利(例えば、FRBなどの決定する借入コスト)が逆相関の関係にあることによって発生します。市場金利が上昇すると債券価格は下落し、債券保有者のポートフォリオにある債券の価値が下がることがあります。そのため、債券投資を行う際は、この金利リスクを十分に理解しておくことが重要です。
債券の種類
債券市場には、さまざまな種類の債券が存在します。ここでは、代表的な債券についてご紹介します。
国債
国債は、政府が公共事業の資金調達、財政赤字の補填、国の借金管理など、さまざまな目的のために発行する債務証券です。投資家が国債を購入するということは、実質的に政府にお金を貸し付けることを意味します。
社債
社債は、企業が事業運営や事業拡大のために資金を調達する際に発行する債券です。投資家が社債を購入するということは、発行会社にお金を貸し付けることを意味します。これらの債券は、通常、国債よりも高い利回りを提供する傾向にありますが、同時にデフォルト(債務不履行)のリスクも高くなる点にご留意ください。
地方債
地方債は、州政府や地方政府が発行する債務証券です。地方債によって調達された資金は、学校や病院などの公共施設建設、インフラ整備といった公共事業に活用されます。
トレジャリーボンド
トレジャリーボンドは、米国政府(米国財務省)が発行する国債のうち、償還期間が10年を超える利付債の総称です。これは、米国政府が歳出を賄い、国の借金を管理するために発行する債券であり、政府が償還を保証しているため、非常に安全な投資と考えられています。これらの債券は米国政府の全面的な信頼と信用に裏付けられており、利用可能な投資オプションの中で最も安全性の高いものの一つとされています。
債券と株式の関係性
ポートフォリオを組む際、債券と株式はしばしば一緒に検討されます。有名な経験則に「株式60%・債券40%」というものがあるように、これは保守的な投資配分として広く推奨されています。
この配分が推奨されるのは、一般的に債券市場が株式市場と逆の値動きをする傾向があるためです。債券は通常、株式に比べて価格変動が小さく(つまりリスクが低い)、この特性が債券と株式の補完関係を築いています。
たとえば、株式市場が下落すると、投資家はさらなる価格下落を避けるために株式を売却し、代わりに債券を購入することがあります。逆に、株式市場が上昇している局面では、債券を保有し続けることによる機会損失が大きくなるため、投資家は債券を売却して株式を購入する傾向にあります。
上記は非常に単純化した説明ですが、ポートフォリオを分散し、リスクをヘッジするために株式と債券の両方に投資するという、投資戦略の基本的な考え方に基づいています。
債券の取引方法
債券投資・取引は、安定したリターンを求める個人投資家にとって魅力的な選択肢の1つです。ここでは、債券を取引する主な方法と、それぞれの留意点について解説します。
直接募集
一部の個人投資家は、政府機関や民間企業といった債券の発行体から、直接債券を購入できます。例えば、米国では財務省が連邦債を直接発行しています。この方法は、発行されたばかりの債券を直接手に入れる機会となります。
流通市場(セカンダリーマーケット)での売買
多くの国債や社債は、ヘッジファンドや年金基金などの機関投資家向けに発行されるのが一般的ですが、一度発行された債券は流通市場で自由に取引されるため、個人投資家でも債券投資に参加できます。
個人投資家が流通市場で債券を購入する際は、債券を取り扱っている証券会社を利用します。ただし、発行後に流通市場で購入する場合、購入価格が額面金額と異なることがある点に留意が必要です。この価格差は、受け取る利回りに影響を与えます。また、証券会社が課す売買手数料や諸費用が発生する場合があります。
同様に、保有している債券をブローカーを通じて流通市場で売却することも可能です。購入時よりも高い価格で売却できれば、キャピタルゲイン(売却益)を得られます。反対に、低い価格で売却した場合は損失となります。
満期保有
債券を満期まで保有することも選択肢の一つです。満期時には、債券の額面金額が償還されます。それまでに支払われる権利があった利息(クーポン)も、満期までに全て受け取ることができます。
債券ETF
債券に投資する方法として、上記の様に、発行時に直接購入したり、流通市場で特定の債券を選んで購入したりする方法があります。これは、個別の債券を直接保有することを意味します。しかし、もし個別の債券を直接保有することに抵抗がある場合や、少数の債券に集中するのではなく、多様な債券に分散投資したい場合は、債券ETF(上場投資信託)という選択肢があります。
債券ETFは、特定の債券市場セグメントのパフォーマンスに連動するように設計された投資信託です。これらのETFは、原資産である債券の利回りに近いリターンを目指しますが、運用手数料がかかるため、その分わずかな差が生じることがあります。
また、ファンドマネージャーが常に組み入れ債券を調整(リバランス)しているため、個別の債券と異なり、債券ETFには満期日がありません。ただし、毎月の分配金は受け取れます。
債券投資の可能性
長期的な不労所得の可能性
債券は、固定利息を支払う有価証券であり、定期的なクーポン(利息)支払いを通じて不労所得を得るのに非常に適しています。2年から30年までさまざまな期間の債券が存在するため、特に期間の長い債券は、安定した固定収入源として魅力的です。
キャピタルゲイン(売却益)の可能性
債券は流通市場で取引されるため、トレーダーにとっては売買による利益を得る機会があり、株式と同様に、購入時よりも高い価格で売却できれば利益が出ます。
しかし、債券価格は金利の変動に影響されるため、株式に比べて最適な売却タイミングを見極めるのが難しい場合があります。また、市場が混乱すると流動性の問題が発生し、希望するタイミングで取引できない可能性もあります。
CFDを利用した債券取引
CFD(差金決済取引)は、実際の債券を購入したり、債券ETFの株式を保有したりすることなく、債券市場の動きに乗じて取引をする方法です。CFDでは、個別の債券や債券ファンドを直接保有する代わりに、その価格変動に投資します。価格が予測通りに動けば利益が得られますが、逆の場合は損失を被る可能性もあります。
また、CFD取引では、レバレッジを利用することで債券の全額を支払うことなくより少ない資金で債券投資を始められます。しかし、レバレッジは、利益が狙えると同時に損失を拡大させる可能性もあるため、慎重に利用をすることが重要です。
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これまで債券は、長期的な安定収入を得るための投資商品として選ばれてきました。しかし、取引ツールを活用することで、短期的な価格変動からも利益を狙えるようになっています。
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参照
- “Some Advantages of Bonds – Investopedia”. https://www.investopedia.com/investing/bond-advantages/. Accessed 3 July 2023.
- “The Benefits of a Bond Portfolio – Investopedia”. https://www.investopedia.com/articles/bonds/08/bond-portfolio-made-easy.asp. Accessed 3 July 2023.
- “Corporate Bonds: An Introduction to Credit Risk – Investopedia”. https://www.investopedia.com/investing/corporate-bonds-introduction-to-credit-risk/. Accessed 3 July 2023.