米国債の中でも、特に「トレジャリーノート」と「トレジャリーボンド」は、似た構造を持ちながらも、2つの明確な違いがあります。この記事では、特に米国債の中でもトレジャリーノートとトレジャリーボンドに焦点を当て、それぞれの特徴、違い、そして取引方法について詳しく見ていきます。
米国債:トレジャリーノートとトレジャリーボンド
株式やコモディティ(商品)といった一般的な金融商品とは異なり、債券は、比較的リスクが低くリターンも控えめな投資先として、ポートフォリオのバランスを取り、リスクを分散したい投資家に選ばれています。
債券は「負債証券」であり、投資家は債券を発行する主体(発行体)にお金を貸し付けます。そのリターンとして、発行体は定期的に利息を支払い、満期時には元本全額を投資家へ返済します。
そのため、発行体が債務不履行(デフォルト)に陥らず、確実に返済できるかどうかが重要になります。一般的に、信頼性の高い政府が発行する債券は、質が高くリスクが低いと評価されます。ただし、政府保証付きの債券でもデフォルトした例もあるため、投資家は常に慎重な姿勢が必要です[1]。
米国債の信頼性
米国政府も、多くの国と同様に積極的に債券を発行しており、これらは米国債として知られています。特に、トレジャリーノートとトレジャリーボンドは米国債の代表的な種類です。今日まで、米国政府は一度も債務不履行を起こしたことがありません[2]。この実績から、米国債は非常にリスクが低いと見なされ、多くの投資家から人気を集めています。
トレジャリーノートとは?[3]
トレジャリーノートは、米国政府が発行する債券で、さまざまな政府事業の資金調達に使われます。これらは固定金利証券であり、6カ月ごとに「クーポン」と呼ばれる利息が支払われます。満期になると、額面金額が保有者に償還されます。トレジャリーノートには2年、3年、5年、7年、10年の5つの種類があります。これらは米国政府によって保証されているため、極めて安全性の高い投資商品の一つとされています。
トレジャリーノートは、オークションを通じて購入でき、100米ドル単位で販売されています。最終利回りや金利などの市場状況によって、価格は額面よりも高くなったり、同等になったり、低くなったりすることがあります[4]。満期まで保有することもできますが、公開市場で満期前に売却することも可能です。
トレジャリーノートのメリット
トレジャリーノートへは、低リスクで資金を増やせる手段として、投資家から一定の支持を得ています。定期的な利払いがあるため、安定した収入を求める投資家にとって魅力的です。
また、公開市場で取引できるため、金利や金融政策の変更、マクロ経済の動向から利益を得る機会もあります。上記は一般的にどのような債務証券にも当てはまりますが、トレジャリーノートは、2年から10年という幅広い投資期間が選択できるため、短期から中期的な投資戦略において柔軟性があります。
トレジャリーボンドとは?
トレジャリーボンドは、米国政府が発行するさまざまな債券の中で償還期間が10年超のもので、期間が長いのが特徴です。そのため、「ロングボンド」とも呼ばれています。投資家は20年物または30年物のトレジャリーボンドを選択でき、満期まで保有する義務はありません。
トレジャリーノートと同様に、トレジャリーボンドの保有者も半年に一度、利払いを受け取ります。この利率は事前に決定されるものではなく、入札状況によって変動するため、入札時に確定します。
トレジャリーボンドは毎月発行され、100米ドル単位で売却されます。ただし、市場で売却する前に最低45日間保有する必要があります。満期前に売却した場合、債券の額面金額が保証されるわけではないため、もし債券価格が額面金額を下回っている場合は、売却を慎重に検討する必要があります。
トレジャリーボンドのメリット [5]
償還期間が長いため、トレジャリーボンドは長期的な貯蓄手段として理想的です。特に、銀行の普通預金口座よりも高い利回りを得られる可能性がある場合、その魅力はさらに高まります。購入時期を見計らって満期まで保有することも、市場が有利な時に売却して資金を回収することも可能です。
債券を保有している限り、半年ごとに利払いを受け取ることができます。これにより、安定した収入源を確保でき、他の用途に充てたり、他の証券に再投資したりすることが可能です。
トレジャリーボンドのもう一つのメリットは、株式などの投資ポートフォリオにおけるリスクヘッジやボラティリティの緩和に利用できる点です。これは、これら2つに逆相関関係があるためです。
トレジャリーノートとトレジャリーボンドの違い
米国債であるトレジャリーノートとトレジャリーボンドは似ていますが、主に期間(償還期間)とクーポンレートという2つの点で異なります。
種類 | トレジャリーノート | トレジャリーボンド |
期間 | 2年、3年、5年、7年、10年 | 10年超 (20年、30年) |
投資目的 | 短期〜中期投資 | 長期投資 |
クーポンレート(利息) | 一般的にトレジャリーボンドより低い | 一般的にトレジャリーノートより高い |
市場での売買 | 満期前に売却可能(市場金利変動で損失の可能性あり) | 満期前に売却可能(市場金利変動で損失の可能性あり) |
リスク | 米国債であるため低いが、売却タイミングによっては価格変動リスクがある | 米国債であるため低いが、売却タイミングによっては価格変動リスクがある |
期間(償還期間)
トレジャリーノートは、2年、3年、5年、7年、10年の期間で発行され、比較的短期から中期的な投資に適しています。
一方、トレジャリーボンドは20年または30年の期間で発行されるため、長期投資家向けです。
これらの米国債は、満期前に公開市場で売却することも可能ですが、計画なく売却すると損失を出す可能性があります。例えば、年利2.2%の3年物ノートを1年保有した後、市場で年利2.5%の2年物ノートが発行された場合、残存期間2年のあなたのノート(年利2.2%)は、新しく発行されたノート(年利2.5%)よりも魅力が低くなります。この場合、現在保有しているノートを売却するには価格を下げざるを得ず、損失につながる可能性があります。
クーポンレート(利率)
もう一つの違いは、受け取る利息であるクーポンレートです。
一般的に、トレジャリーボンドはトレジャリーノートよりも高いリターンを提供します。これは、より長期のボンドを保有することに伴う機会費用を補償するためです。
なお、米国債のクーポンレートは固定ですが、流通市場における利回りは、その証券が取引される価格によって変動するため、常にクーポンレートと一致するわけではありません。
債券CFD取引
CFD取引は、実際に米国債を保有することなく、その価格変動から利益を狙う取引手法です。トレジャリーノートやトレジャリーボンドを含む債券のCFD取引は、少額から始められ、最小1ロットから取引できるため、大きな資金がなくても市場に参加でき、リスクを抑えながら経験を積むことが可能です。
また、買いと売りの両方のポジションで取引できるため、市場が上昇しても下落しても、あらゆる状況から利益を得るチャンスが広がります。これにより、多様な市場戦略を立てることが可能となり、柔軟な投資機会を提供します。
CFD取引では、レバレッジを利用して、大きな取引をすることが可能ですが、これは利益を増幅させる可能性がある一方で、損失も同様に拡大させるリスクがあることを理解しておく必要があります。
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参照
- “7 Things You Didn’t Know About Sovereign Defaults – Investopedia” https://www.investopedia.com/financial-edge/0911/7-things-you-didnt-know-about-sovereign-debt-defaults.aspx Accessed 19 Sep 2023
- “7 Things You Didn’t Know About Sovereign Defaults – Investopedia” https://www.investopedia.com/financial-edge/0911/7-things-you-didnt-know-about-sovereign-debt-defaults.aspx Accessed 19 Sep 2023
- “Treasury Notes – Treasury Direct” https://www.treasurydirect.gov/marketable-securities/treasury-notes/ Accessed 19 Sep 2023
- “Understanding Pricing and Interest Rates – Treasury Direct” https://www.treasurydirect.gov/marketable-securities/understanding-pricing/ Accessed 19 Sep 2023
- “Treasury Bonds – Treasury Direct” https://www.treasurydirect.gov/marketable-securities/treasury-bonds/ Accessed 19 Sep 2023