株式投資の世界では、一般的に「バリュー株」と「グロース株」という2つの主要なカテゴリーが存在します。この分類は厳密なものではありませんが、それぞれの株式カテゴリーには明確な特徴が見られます。
一般的に、バリュー株は、比較的安定したリターンが期待できる一方、グロース株は、時間をかけて大きな成長を遂げる可能性を秘めています。
では、それぞれの特徴や潜在的なリスク、そして自身の投資目標やリスク許容度に応じて、どのようにバリュー株とグロース株を比較し、選び分ければ良いのでしょうか?
この記事では、グロース株とバリュー株の違い、それぞれの投資戦略、そして投資家・トレーダーがこれらの株式を最大限に活用するための方法について解説しています。
バリュー株とグロース株の比較
下の表は、バリュー株とグロース株を比較したものです。
特徴 | バリュー株 | グロース株 |
株価指標 | 割安、低いPER(株価収益率) | 割高、高いPER(株価収益率) |
企業ステージ | 成熟した、実績のある企業が多い | 設立間もない、革新的な製品を持つ企業が多い |
期待されるリターン | 長期的に安定した緩やかなリターンが期待される | 比較的短期間で大きなリターンが期待される |
配当 | 高い配当 | 低い配当または無配当 |
株価の変動性 | 株価の変動性が低い | 株価の変動性が高い |
投資判断のポイント | バリュートラップ(割安に見せかけた落とし穴)を避ける能力 | 早期に成長株を見抜く能力 |
バリュー株とは?
バリュー株とは、現在の市場においてその価値が十分に評価されていないと考えられる株式のことです。市場は、これらの企業の株価が、本来持つ収益力や長期的な成長の潜在力をまだ十分に反映していないと判断しています。
例えば、ある企業の株式の帳簿価額が1株あたり50ドルであるとします。もしその株が現在1株あたり40ドルで取引されている場合、金融アナリストはその株をバリュー株と見なすことがあります。
これは、市場でまだ広く知られていないものの、大きな成長の可能性を秘めている企業であるかもしれません。また、企業内部の危機といった一時的な要因や、業界全体が直面している逆風といった外部環境の変化によって、一時的に株価が下落しているような実績のある大企業である可能性も考えられます。
一般的に、バリュー株は成熟したビジネスモデルを持ち、長期的な収益成長が見込まれる、比較的実績のある企業であることが多く、このような企業は、安定した収益成長を事業の目標として、重点を置く段階にあるため、株主に対してより高い配当を支払う傾向があります。
バリュー株投資のメリット
バリュー株投資のメリットとしてまず挙げられるのは、その株価の安定性です。成熟した収益モデルと比較的予測しやすい収益構造を持つバリュー株は、グロース株に見られるような激しい価格変動が少なく、安定した値動きをする傾向があります。
また、インカムゲインもバリュー株の魅力の一つです。一般的に配当利回りが高く、多くの実績ある企業は長年にわたり配当金を段階的に増やしていく傾向があるため、安定的な資本増加につながります。
さらに、バリュー株は、高いブランド認知度、確立された顧客基盤、低い負債水準、豊富な現金準備といった要因から、厳しい経済状況下においても比較的底堅い動きを示す傾向があります。
バリュー株投資のデメリット
一方で、株価が安定している反面、市場平均を大きく上回るリターンを得る可能性は相対的に低くなります。そのため、特に短期間においては、バリュー株は緩やかな、あるいは停滞した資本増加しかもたらさないと考えられることがあります。
また、心理的な側面として、バリュー株の株価が期待されたほど上昇せず、値動きの大きさを求める投資家にとっては退屈に感じられ、不満につながる可能性もデメリットとして挙げられます。
加えて、一部のバリュー株は「バリュー・トラップ」に陥るリスクを抱えています。これは、将来の成長が見込めない企業を指し、そのような銘柄への投資では、満足のいく投資収益を達成することが難しい場合があります。
投資家は、潜在的なバリュー・トラップを見抜くための慎重さを持つことが重要です。
グロース株とは?
グロース株とは、市場平均を上回るリターンが期待される銘柄のことです。これらの株式は、小型、中型、大型のいずれの規模の企業にも存在します。
グロース投資家は、この将来的な成長の可能性に対して、多少割高な価格で購入することもあるため、グロース株の株価は相対的に高い水準になりやすく、PER(株価収益率)などの指標も高くなる傾向があります。
グロース株は、バリュー株と比較して、革新的あるいは画期的な製品やサービスによって既存の業界構造に変革(ディスラプト)をもたらすことを目指す、設立間もない企業であることが少なくありません。これらの企業の主な焦点は、可能な限り迅速に事業を成長させ、市場における主導的な地位を確立することに置かれています。
従って、グロース企業は、株主への利益分配よりも、事業をさらに発展させるために利益を再投資する傾向が強いと言えます。
成功を収めたグロース株は、収益の急速な増加、そしてそれに続く収益性の大きな成長が期待されます。これらの主要な指標の改善は、企業の価値に対するポジティブな見方を強め、それが株価上昇につながり、さらなるビジネスチャンスを生み出すという好循環を生み出す可能性があります。
グロース株投資のメリット
グロース株投資の大きな利点は、市場平均を上回る高い成長の可能性を秘めている点です。グロース株の中には、比較的短期間で株価が大幅に上昇したり、大きな値上がりを見せたりすることも珍しくありません。
さらに、グロース株は、市場の構造に変革(ディスラプト)をもたらしたり、確立された業界の常識を根底から覆したりする可能性を秘めていることがよくあります。成功したグロース株への投資は、投資家にとって大きな利益をもたらす可能性があり、場合によっては多大なキャピタルゲインにつながることもあります。
グロース株投資のデメリット
グロース株投資には、バリュー株と比較して株価変動が大きくなりやすいという特性があり、より高いリスク許容度が求められます。株価が大きく変動する可能性があるため、投資家・トレーダーは短期的な市場の動向に動じないことが重要となります。
グロース株投資で成功を収めるためには、将来有望な企業を早期に見極める能力が不可欠です。また、株価が本格的に上昇するまで時間を要するケースも少なくないため、グロース株投資家には、困難な時期においても保有し続けることが求められます。
さらに、グロース株投資における注意点として、インカムゲインを得にくい傾向が挙げられます。事業の早期成長を優先するため、グロース株は配当を実施しない、あるいは配当額が低い場合があります。
また、グロース株は景気後退の影響を受けやすい可能性があります。負債水準が高い企業もあり、事業継続のために外部からの資金調達に依存するケースも見られます。
バリュー株とグロース株の例
バリュー株
バリュー株は、景気変動の影響を受けやすい特定の主要産業に多く見られます。これらの産業には、エネルギー、金融、生活必需品、素材などが含まれます。
以下は、これらの産業に属するバリュー株の例です。
- JPモルガン
- プロクター・アンド・ギャンブル
- エクソンモービル
- マクドナルド
グロース株
グロース株は、市場全体よりも速いペースで成長することが期待される企業の株式です。そのため、これらの企業の株価は通常、市場平均を上回る傾向があります。
以下は、グロース株の例です。
- ネットフリックス
- アップル
- エヌビディア
- メタ・プラットフォームズ
バリュー株とグロース株では利上げに強いのはどちらですか?
一般的に、利上げ局面ではバリュー株の方がグロース株よりも底堅い傾向があります。
これは、金利の上昇によって将来のキャッシュフローの割引率が高まるため、将来の成長に期待が高いグロース株は相対的に割高に評価されやすくなる一方、バリュー株は現在の利益や資産に基づいて評価されるため、金利変動の影響を受けにくいからです。
例えば、成熟した産業に属するエネルギーや生活必需品セクターのバリュー株は、景気変動の影響を受けにくく、安定したキャッシュフローを生み出すため、利上げ環境下でも投資家の支持を得やすいと考えられます。
従って、利上げが意識される局面では、成長性よりも安定性を重視する投資家の間でバリュー株への関心が高まる傾向が見られます。
まとめ:バリュー株とグロース株:どちらを選ぶべき?
株式投資において、バリュー株とグロース株は対照的な特性を持つ2つの主要な投資スタイルです。バリュー株は、市場で過小評価されていると判断された企業の株式であり、割安な株価指標と安定した収益、高い配当利回りが特徴です。一方、グロース株は、市場平均を上回る高い成長が期待される企業の株式であり、革新的な製品やサービス、高い株価変動性、低いまたは無配当が一般的です。
どちらの投資スタイルが優れているかは一概には言えず、投資家の目標、リスク許容度、投資期間によって最適な選択肢は異なります。
安定性を重視し、長期的なインカムゲインを狙う投資家には、成熟したビジネスモデルを持ち、安定したキャッシュフローを生み出すバリュー株が適している可能性があります。一方、高い成長性とキャピタルゲインを追求する投資家には、革新的な技術やビジネスモデルを持つグロース株が魅力的な選択肢となり得ます。
最終的にどちらの株式を選ぶかは、自身の投資計画と目標に合致するかどうかを慎重に検討することが重要です。また、ポートフォリオ全体のリスク分散の観点から、バリュー株とグロース株を組み合わせることも有効な戦略の一つと言えるでしょう。
ヴァンテージでバリュー株とグロース株のCFD取引を始める
ヴァンテージでは、最短3分でお手続きが完了するリアル口座を開設いただくと、バリュー株やグロース株をはじめとする多様な株式のCFD取引をすぐにお始めいただけます。
また、無料でご利用いただけるデモ口座もご用意しております。実際に資金を投入される前に、さまざまな取引戦略、テクニックをお試しいただくことが可能です。
さらに、ヴァンテージでは米国株式の取引手数料は無料です。最大33倍のレバレッジを活用いただくことで、より少ない資金からでもお取引を開始いただけます。