MetaTrader 4(MT4)およびMetaTrader 5(MT5)は、FXおよびCFDトレーダーにとって、世界的に広く利用されている取引プラットフォームです。両プラットフォームは多くの共通点を持ちながらも、その違いも存在します。
投資家・トレーダーの戦略やスタイルにより、MT4とMT5のどちらが適しているかは違います。そこでこの記事では、MT4とMT5の違いを17のポイントから明確にし、それぞれのプラットフォームがどのようなトレーダーに最適かを解説します。
キーポイント
- 2005年に登場したMT4は、その操作性の高さから、FXおよびCFD取引において広く普及しています。対照的に、2010年にリリースされたMT5は、より広範な市場へのアクセスと、高度な分析ツールを提供しています。
- MT5は、MT4の基本機能を拡張し、テクニカル指標や時間足の種類を拡充しました。さらに、株式や暗号資産といった多様な金融商品への対応を可能にしました。
- トレーダーがMT4とMT5のいずれを選択するかは、取引対象とする市場の種類と、より高度な機能を必要とするか否かによって左右されます。一般的に、MT4はそのシンプルな構造から初心者にとって扱いやすく、一方のMT5は、多様な市場での取引や多角的な分析を求める経験豊富なトレーダーに適していると言われています。
MT4とMT5の違い
MT4とMT5は、トレーダーや投資家に広く利用されている取引プラットフォームですが、それぞれに異なる特徴を有しています。これらのプラットフォームの違いを理解することは、自身の取引戦略にとってどちらを選ぶべきかを検討する上で重要となります。
以下がMT4とMT5を比較した表です。下記機能は、ご利用のブローカーによっては提供されていない場合があります。
機能 | MT4 | MT5 |
取引市場 | FX、CFD | FX、先物、株式、債券、エネルギー、暗号資産、オプション |
時間足 | 9 | 21 |
テクニカル指標 | 30 | 38 |
描画オブジェクト | 31 | 44 |
指値注文の種類 | 4 | 6 |
注文約定方式 | Fill or Kill (FOK) | Fill or Kill(FOK)、Immediate or Cancel(IOC)、Return |
バックテスト | 低速、シングルスレッド | 高速、マルチスレッド |
ヘッジング | はい | はい |
メール機能 | はい(添付ファイルなし) | はい(添付ファイルあり) |
一部約定 | いいえ | はい |
経済指標カレンダー | いいえ | はい |
口座間資金移動 | いいえ | はい |
気配値表示(板情報) | いいえ | はい |
ネッティング | いいえ | はい |
取引所取引 | いいえ | はい |
レポート | 表形式 | 表形式&チャート表示 |
プログラミング言語 | MQL4 | MQL5 |
MT4とMT5の比較
- MT4とMT5はどちらもFXやCFD取引に対応していますが、MT5はさらに先物、株式、債券、エネルギー、暗号資産、オプションといった多様な取引市場に対応しています。
- 時間足の種類はMT4の9種類に対し、MT5は21種類と豊富です。
- テクニカル指標や描画オブジェクトの数もMT5の方が多く、より高度な分析が可能です。
- 指値注文の種類もMT5の方が充実しており、FOKに加えてIOCやReturnといった注文方法を利用できます。注文約定方式において、MT4はFOKのみですが、MT5はFOK、IOC、Returnに対応しています。
- バックテストの速度はMT5が高速で、マルチスレッドに対応しています。
- ヘッジングは両プラットフォームで可能ですが、一部約定、経済指標カレンダー、口座間資金移動、気配値表示(板情報)、ネッティング、取引所取引はMT5のみが対応しています。
- メール機能は両方搭載していますが、添付ファイルの送信はMT5でのみ可能です。
- レポート機能はMT4が表形式であるのに対し、MT5は表形式に加えてチャート表示も可能です。
- プログラミング言語はMT4がMQL4、MT5がMQL5となっています。
MT5は、MT4と比較して、より多くの時間足、テクニカル指標、そして包括的な取引機能を備えています。しかし、これは必ずしもMT5がMT4より優れているということを意味するものではなく、両者は異なる特性を持つプラットフォームであるということです。
例として、基本的な情報を表形式で把握できれば十分なトレーダーにとって、詳細なレポート機能は必ずしも重要ではないかもしれません。一方で、財務データを深く分析するために、詳細なチャートと表の両方を重視するトレーダーも存在します。また、経済指標や関連ニュース、さらには外国為替市場に影響を与える可能性のある金融政策や財政政策の発表といった情報をタイムリーに把握するために、プラットフォームに内蔵された経済カレンダーを重視するトレーダーもいます。
もし、「MT4とMT5のどちらを選ぶべきか?」とお悩みであれば、ご自身の取引における優先順位を明確にすることが、最適なプラットフォームを選択するための重要な判断基準となるでしょう。
MT4のメリットとデメリット
2005年のリリース以来、MetaTrader 4(MT4)はその汎用性の高さと、多様なデバイスからのアクセスの良さから、広く普及した取引プラットフォームの一つです。
MT4は当初、FXトレーダー向けに、特定のロジックに基づいたポジションと注文処理を行うよう設計されました。しかし、現在ではCFDを通じて、コモディティや株価指数といった多様な銘柄の取引も可能となっています。
主にFXおよびCFD取引を検討されており、シンプルな取引環境を重視するのであれば、MT4は比較的容易に操作できるプラットフォームと言えます。
MT4のメリット
- ユーザーフレンドリーなインターフェース: MT4は、分かりやすい操作性が高く評価されており、特にFX取引を始めたばかりの初心者にとって最適なプラットフォームと言えるでしょう。
- 柔軟なカスタマイズ性: トレーダーの個々の取引戦略に合わせ、多様なカスタマイズが可能です。カスタムインジケーターや、自動売買プログラムであるExpert Advisors(EA)の導入も容易です。
- 低いシステム負荷: 軽量設計により、MT4はコンピューターのリソース消費を抑え、旧型のPCを含むさまざまな環境で快適に動作します。
- 充実した分析機能: シンプルな操作性でありながら、高度な分析ツールも搭載しています。豊富なチャートツール、テクニカル指標、描画オブジェクトなどを活用することで、詳細な市場分析が可能です。
- 広範なブローカーサポート: 長年の実績を持つプラットフォームであるため、多くのFXブローカーがMT4に対応しており、トレーダーは幅広い選択肢の中から取引環境を選ぶことができます。
MT4のデメリット
- 取引可能な金融商品の限定性: MT5と比較して、MT4は主にFX取引に特化しており、株式、先物、債券などの取引には対応していません。
- 旧世代のシステム基盤: 32ビットアーキテクチャを採用しているため、複雑な取引戦略の実行や大量の取引処理を行う際には、パフォーマンスや処理速度に制約が生じる可能性があります。
- 高度な注文機能の非搭載: Fill or Killといった、より新しい取引プラットフォームで提供されている高度な注文タイプは、MT4では標準機能として利用できません。
- 板情報の非表示: マーケットデプス(板情報)機能が搭載されていないため、市場の流動性や価格の厚みを確認したいトレーダーにとっては、情報収集の点で不利となる可能性があります。
- バックテストにおけるシングルスレッド限定: 取引戦略の有効性を検証するバックテストにおいて、MT4はシングルスレッドでの処理に限定されます。そのため、MT5のマルチスレッド対応のストラテジーテスターと比較すると、検証に時間を要する場合があります。
MT5のメリットとデメリット
旧バージョンのMT4から5年を経てリリースされたMetaTrader 5(MT5)は、2010年以降、着実に普及しています。機能性の向上と多様な市場への対応力が、多くのトレーダーに評価されています。
MT5は、MT4と同様に多様なデバイスからのアクセスが可能であり、大きな違いとしては、FX、コモディティ、株価指数といった幅広い金融商品を取引できる包括的な注文機能を搭載している点です。
MT4・MT5両プラットフォームに共通する特徴として、インターネット環境があれば世界中どこからでも取引が可能であること、そして取引の自動化を目的としたカスタムインジケーターやトレーディングプログラム(エキスパートアドバイザー、EA)の利用が挙げられます。
MT5のメリット
- 機能強化:MetaTrader 5(MT5)は、MetaTrader 4(MT4)と比較して、より多くの時間足、豊富なテクニカル指標、そして高度な分析ツールを搭載しており、トレーダーの皆様の取引体験を一段と向上させます。
- 多様な資産に対応したプラットフォーム:MT5は、FX(外国為替)に加えて、株式、債券、コモディティといった多様な市場に対応しています。ポートフォリオの分散化を目指すトレーダーにとって、最適なプラットフォームと言えるでしょう。
- 板情報(気配値表示)機能:MT5では、板情報機能を通じて、市場価格と取引ボリュームに関する詳細な情報をご確認いただけます。特に、高頻度取引を行うトレーダーにとっては、極めて重要な機能となります。
- 経済指標カレンダーの統合:プラットフォームには、リアルタイムの経済ニュースと経済指標カレンダーが統合されています。これにより、トレーダーは市場の動向に基づいた意思決定を行うことが可能になります。
- 高度な注文管理:MT5は、MT4よりも多くの注文タイプと執行モードをサポートしており、トレーダーはより複雑な取引戦略を、より高い精度で実行することができます。
MT5のデメリット
- 学習コストの高さ: MT5は、豊富な分析ツールや多様な注文機能を備える一方で、シンプルな操作性が特徴のMT4と比較して、初心者にとっては操作が複雑に感じられる可能性があります。高度な機能を使いこなすには、一定の学習コストが必要となるでしょう。
- リソース消費の大きさ: MT5の多機能性は、コンピューターのリソースをより多く消費する傾向にあります。そのため、旧型のパソコンやスペックの低いデバイス環境では、動作が遅延するなどの影響が出る可能性があります。快適な取引環境を維持するためには、ある程度の処理能力が求められます。
- ブローカーサポートの状況: MT5を導入するブローカーは増加傾向にあるものの、依然としてMT4ほど普及しているとは言えません。従って、特定の市場や取引条件での取引を希望するトレーダーにとっては、利用できるブローカーが限られる可能性があります。
- 既存システムとの互換性: MT4専用に開発された一部のプラグインや自動売買プログラム(EA)は、MT5では互換性がなく、そのまま利用することができません。MT4のカスタムツールに慣れているトレーダーにとっては、移行の際に再構築や代替ツールの検討が必要となる場合があります。
- 取引ルールの変更: MT5は、FX取引において原則としてヘッジモードを採用しています。これは、MT4で一般的なネッティング方式とは異なる取引ルールです。ネッティング方式に慣れているトレーダーは、MT5のヘッジモードへの適応が必要となる場合があります。
MT4がおすすめなトレーダーとMT5がおすすめなトレーダー
MT4・MT5を利用するためには、信頼できるブローカーを選択することが重要です。ブローカーを選ぶ際には、以下の点を考慮する必要があります。
- 取引手数料: スプレッド、 コミッションなどの取引コスト。
- 提供される取引銘柄数: 自身の取引したい商品が取り扱われているか。
- カスタマーサービスの質: サポート体制や対応言語など。
- 追加機能: デフォルトの機能に加えて、ブローカーが独自に提供するツールやサービス。
MT4・MT5は取引プラットフォームであり、取引はブローカーを通じて行われます。
MT4がおすすめのトレーダー
MT4は、そのシンプルさから、特にFX取引を始めたい初心者トレーダーに適していると言われています。主な機能としては、リアルタイムでの取引操作、チャート表示、テクニカル分析ツールなどが挙げられます。
MT4の基本的な仕組みは、トレーダーがプラットフォーム上で発注した取引注文が、自動的にブローカーに送信され、執行されるというものです。MT4自体には注文を執行する機能はありません。
MT4を利用する主な利点は以下の通りです。
- 高度なカスタマイズ性: 個々の取引ニーズや好みに合わせて、プラットフォームを柔軟にカスタマイズできます。
- 自動売買(アルゴリズム取引): 事前に設定した条件に基づいて、自動的にポジションを売買するプログラム(EA:Expert Advisor)を導入し、取引を自動化できます。
- 豊富な取引銘柄: 1,000種類以上の取引可能な商品から選択できます。
MT5がおすすめのトレーダー
より多様な金融市場での取引に関心があるトレーダーには、MT5が適しています。MT5では、FX(外国為替)、株式、指数、商品、貴金属に加え、暗号資産といった幅広い金融商品をCFDを通じて取引することができます。
MT5の注目すべき機能の一つに、価格板(気配値表示)における大口注文の可視化があります。これにより、市場の流動性を把握し、より戦略的な取引判断が可能になります。また、3,200を超える豊富な取引シグナルを利用することもできます。
ヴァンテージでMT4とMT5を利用した取引
ヴァンテージは、高速で使いやすい取引プラットフォームを提供することで、トレーダーの皆さまがMT4およびMT5の両プラットフォームを通じて、取引機会を逃さないように、また十分に生かせるように注力しています。
取引や投資で成功するためには、常に最新の情報に基づいた意思決定を行い、個々の取引ニーズに最適なオプションを選択することが重要です。ヴァンテージは、最先端のテクノロジーを駆使し、迅速な約定が可能な取引プラットフォームを提供しています。MT4は、FX取引機能がさらに向上し、また、MT5では、CFD取引においてもEA(自動売買プログラム)やシグナル取引との互換性を持ち、さらに重要なポジションヘッジ機能を含むメリットを体感いただけます。
さらに、MT4とMT5の両プラットフォームでデモ取引口座を利用でき、これにより、実際のお金をリスクにさらすことなく、実際の市場さながらの環境で、ご自身の取引戦略をじっくりと検証いただけます。デモ口座は、実際の取引口座とほぼ同様の機能を有していますが、取引に使用されるのは仮想資金です。特に初心者のトレーダーにとって、デモ口座はMT4またはMT5プラットフォームを試し、多様な取引ツールを体験する機会となります。ヴァンテージのMT4・MT5を利用してCFD取引を始めませんか?入金ボーナスをはじめとしたさまざまなキャンペーンもご利用いただけます。