ECNとSTP口座、どちらを選ぶべき？取引方式の違いを徹底解説

取引を始める際、ブローカーや口座選びは非常に重要です。FX・CFD口座を選ぶ上での重要なポイントの一つに、ECN方式とSTP方式という2つの取引方式があります。 どちらの方式を選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか？

この記事では、ECNとSTPの違いをわかりやすく解説し、どちらの方式を選ぶべきか、そして自身にとって最適なブローカーの選び方を詳しくご紹介します。

注文がどのように市場に送られ、実行されるのか、それぞれの方式のメリットやデメリット、そしてブローカーや口座を選ぶ際に注意すべきポイントまで、徹底的に解説します。

キーポイント

• ECN口座は、スプレッドが狭く手数料も安いのが特徴です。取引は直接インターバンク市場へ送られ、素早く約定するため、取引の頻度が高いトレーダーに人気です。一方、STPブローカーは、取引がどのように処理されるかによってスプレッドが変動することがあります。

• ECNとSTPは共に、トレーダーが直接市場に参加できるDMA方式を採用し、スプレッドが狭いのが特徴です。しかし、取引の執行スピードや手数料の仕組みは異なります。

• ECNは、透明性が高く、手数料ベース のシンプルなコスト構造です。そのため、取引量が多く頻繁に取引するトレーダーに人気があります。一方、STPは、スプレッドはECNに比べて広くなる可能性がありますが、手数料が無料のブローカーも多くあります。スプレッドは、固定、または変動の場合もあり、さまざまなニーズに対応できます。

ECNとSTPの特徴

ブローカーは、大きく分けてDD（ディーリングデスク）方式とNDD（ノーディーリングデスク）方式の2つのモデルを採用しています。

• DD方式: ブローカーが仲介に入り、注文を自社のシステムで処理します。
• NDD方式: ブローカーは仲介せず、注文を直接市場に送ります。NDD方式には、ECNとSTPの2種類があります。

ECN口座が向いているケース

• 取引スピードを求める場合: ECNは、他の方式と比較して、注文の処理速度が非常に速いのが特徴です。

• スプレッドが狭く、手数料が一定であることを希望する場合: ECNは、スプレッドが非常に狭く、取引ごとに一定の手数料がかかることが一般的です。

• 時間帯を問わず柔軟に取引したい場合: ECNは、通常の取引時間帯だけでなく、市場が流動性の低い時間帯でも取引が可能です。

STP口座が向いているケース

• 手数料無料で取引したいトレーダー: STPは、一般的に取引手数料がかからず、スプレッドも比較的狭いため、コストを抑えて取引したい方に人気です。

• シンプルで分かりやすい取引環境を好むトレーダー: STPは、ECNに比べて仕組みがシンプルで、初心者でも取引を始めやすい傾向にあります。

ECN方式とSTP方式について

ECN（Electronic Communication Network）とSTP（Straight-through Processing）は、FX取引における注文処理方式としてよく比較される言葉です。どちらも、ディーラーの介入を最小限に抑え、より透明性の高い取引環境を提供することを目指しています。しかし、その仕組みや特徴は異なります。

ECN（電子通信ネットワーク）は、顧客の注文を直接大口顧客や金融機関が集まる市場に送り、最良の取引条件で約定させる方式です。取引過程で、注文がどこで約定したか、誰が取引相手だったかといった情報は開示されません。そのため、顧客はより透明性の高い取引環境で、ディーラーの介入なしに取引を行うことができます^[1]。

STP（ストレート・スルー・プロセッシング）は、ブローカーが顧客の注文を電子的に市場に直接渡すための仕組みであり、STPブローカーは、注文を他のブローカーや金融機関に転送し、最良の約定先を探します。ECNと同様に、DDを経由しないため、顧客はより迅速かつ公平な取引が期待できます^[2]。

ECNもSTPも、DDを介さないため、顧客の注文処理がより透明化され、客観的な基準に基づいて行われるようになります。つまり、顧客の利益とブローカーの利益が対立する状況が起きにくく、より公平な取引環境が実現されます。

ECNとSTP口座の共通点

ECNとSTPには、多くの共通点があります。

どちらも、スプレッドが狭く、市場に直接アクセスできるという特徴があります。これは、トレーダーがより有利な取引条件で取引ができることを意味します。

	ECN方式	STP方式
DD（ディーリングデスク）	なし	なし
スプレッド	狭い	狭い
市場へのアクセス	直接	直接

ECNとSTP口座の違い

ECNとSTPでは、注文の処理方法や取引コストなどが大きく異なります。ECNとSTPの違いを理解することは、最適なブローカーを選ぶ際のヒントとなります。

ECN

• ルーティング: 取引はインターバンク市場で直接行われ、ディーラーの介入が少ないため、より公平な価格で取引ができ、透明性が高いと考えられます。
• スプレッド: 市場状況に応じてスプレッドが変動するため、流動性が高い通貨ペアや銘柄では非常に狭いスプレッドで取引できる可能性があります。
• 取引手数料: 取引ごとに手数料が発生します。

STP

• ルーティング: インターバンク市場だけでなく、他のブローカーやマーケットメーカーなど、さまざまな流動性プロバイダーに注文をルーティングできます。
• スプレッド: ブローカーによって異なりますが、変動スプレッドと固定スプレッドの両方があります。
• 取引手数料: スプレッドが取引コストとなることが一般的です。スプレッドはECNに比べて広くなる可能性がありますが、手数料が無料のブローカーも多くあります。

特徴	ECN口座	STP口座
注文ルーティング	注文はインターバンク市場に直接ルーティングされ、ディーラーの介入なしに最良の市場レートで約定される。	注文は、インターバンク市場、他のSTPブローカー、マーケットメーカー、あるいはECNブローカーなど複数の相手にルーティングされる。
執行速度	ECNネットワーク上での取引のため、非常に高速な執行が可能。	執行速度は、注文のルーティング先によって変動する。
取引コスト	取引ごとに一定の手数料が発生し、スプレッドは常に変動する。	スプレッドが取引コストとなることが一般的。固定スプレッドや変動スプレッドを提供するブローカーもある。

1.注文ルーティング

ECNブローカーは、注文を直接大規模な金融機関が集まるインターバンク市場に自動で送ります。一方、STPブローカーは、他のブローカーやマーケットメーカーなど、さまざまな取引相手へ注文を順次渡していきます。そのため、注文の行方は一律ではなく、注文ごとに異なる可能性があります。ただし、取引にはディーラーが介入するようなことはありません。

2.執行速度

ECNブローカーは、多くの投資家が参加するECNネットワークを通じて、迅速な取引実行を実現します。そのため、トレーダーは取引コストを抑えながら、より多くの取引チャンスを捉えることができます。一方、STPブローカーは、注文がたどるルートによって執行速度が異なります。

3.取引手数料体系

ECNブローカーは、取引ごとに少額の手数料を受け取ることで収益を得ます。STPブローカーは、手数料に加えて、スプレッド（売値と買値の差）からも利益を得ることができます。STPブローカーでは、スプレッドが変動するものと固定されているものがあります。

ECNブローカーのメリットとデメリット

メリット

• ECNブローカーでは、インターバンク市場に直接接続することで、再見積もりやスリッページの心配もありません。
• スプレッドが狭いため、スキャルピングなどの短期取引戦略に最適です。
• ECNブローカーを通しての取引では、より中立的な取引環境が提供されます。
• インターバンク市場への直接アクセスにより、リアルタイムで市場の変動を捉え、迅速な取引が可能です^[3]。

デメリット

• 取引手数料が発生します。

STPブローカーのメリットとデメリット

メリット

• ECNと同様に、比較的狭いスプレッドで取引できます。
• スプレッドが狭いため、スキャルピングなどの短期取引戦略に適しています。
• インターバンク市場への接続により、リアルタイムでFX・CFD取引が可能です。

デメリット

• STPブリッジは、小規模ブローカーが大手ブローカーに取引を委託する仕組みです。そのため、注文の処理経路が不透明な場合があり、ECNのような透明性はありません。
• 大手ブローカーは、トレーダーの注文を市場に流すか、自社で吸収するかを選択できるため、スリッページが発生する可能性があります。

まとめ：ECNとSTP、どちらを選ぶべき？

ECNとSTPは、それぞれの方式には特徴があり、どちらが良いかは、自身の取引スタイルや重視する点によって異なります。

ECN方式は、多くのトレーダーから支持されている取引方式です。低スプレッドで超高速の約定が期待できるため、短期的なトレードを頻繁に行うアクティブトレーダーにとっては魅力的な選択肢といえます。手数料がかかる点もデメリットとして挙げられますが、長期的に見れば、スプレッドが狭い分、トータルコストを抑えることができるケースが多いです。

一方、STP方式は、ECN方式に比べてスプレッドはやや広めですが、安定した環境で取引をできます。特に、初心者の方や、あまり頻繁に取引を行わない方にとっては、扱いやすいという理由で選ばれています。

ECNとSTP、どちらを選ぶべきか迷った場合は、デモ口座を利用して、実際に試してみることをおすすめします。デモ口座では、リスクなく取引を体験できますので、ご自身の取引スタイルに合った取引方法を見つけることができるでしょう。

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参考